図解は入れればよいわけではない
資料に図解を入れると、見た目は少し整ったように見えます。ただ、図解があるから分かりやすいとは限りません。情報を詰め込みすぎた図、矢印の意味が分からない図、比較軸がそろっていない表は、文章だけの資料より読みにくくなることもあります。
悪い図解と良い図解の違いは、デザインの上手さだけではありません。読み手が何を見ればよいか分かるか。見出しだけで意味がつかめるか。情報の関係が自然に追えるか。判断に必要な違いが見えるか。こうした観点で見ると、改善ポイントが見えやすくなります。
つまり、図解の良し悪しは「きれいかどうか」だけでは判断できません。きれいでも、何を比べる図なのか分からなければ使いにくい図です。逆に、装飾が少なくても、見出しと情報の並びがそろっていれば、読み手は迷わず内容を追えます。
悪い図解は、何を伝えたいかが曖昧
悪い図解に多いのは、伝えたいことが絞られていない状態です。あれもこれも入れようとして、箱が増え、矢印が増え、注釈が増える。情報を減らさないほうが安心に見えても、読み手はどこから見ればよいか分からなくなります。
図解には、中心になるメッセージが必要です。サービスの仕組みを見せる図なのか、導入前後の変化を見せる図なのか、比較ポイントを見せる図なのか。中心が決まっていないと、見た目を整えても伝わりにくさは残ります。
良い図解は、見出しで意味が分かる
良い図解は、見出しを読んだ時点で何を見ればよいかが分かります。「導入後に減る3つの作業」「AプランとBプランの違い」「検討から運用までの流れ」のように、図解の役割がはっきりしている見出しです。
逆に、「サービス概要」「業務フロー」「比較表」だけでは、図の型は分かっても意味は伝わりません。BtoB資料では、図解の見出しを少し具体的にするだけで、読み手の理解は進みやすくなります。図解は本文の補足ではなく、ページの中で意味を持つ要素です。
比較軸がそろっているか
比較表や Before / After で特に大切なのが、比較軸です。比較軸がそろっていない図解は、見た目は表になっていても判断しにくくなります。導入前は作業時間、導入後は成果、別の列では費用、というように観点が混ざると、読み手は何を比べればよいか分かりません。
良い図解は、同じ観点で情報が並んでいます。作業時間を比べるなら作業時間、関係者を比べるなら関係者、費用を比べるなら費用です。比較するための図解では、情報の量より軸のそろい方を優先します。
視線の流れが自然か
図解では、読み手の視線の流れも見ます。左から右へ読むのか、上から下へ読むのか、中心から周辺へ見るのか。流れが分からない図解は、読み手が自分で順番を探す必要があります。これは小さな負担ですが、資料全体では大きな負担になります。
矢印を使う場合は、矢印が何を意味するのかを意識します。時間の流れなのか、因果関係なのか、データの流れなのか。意味の違う矢印が同じ図の中に混ざると、図解は読みにくくなります。視線の流れを一つに決めるだけでも、図解はかなり改善されます。
装飾が理解を邪魔していないか
図解を見栄えよくしようとして、色やアイコンを増やしすぎることがあります。もちろん、見た目は大切です。ただ、色が多すぎると重要な部分が分からなくなります。アイコンが多すぎると、何を表しているのかを読み解く負担が増えます。
良い図解は、強調する場所が限られています。重要な情報だけ色を変える、流れの中心だけ太くする、比較したい項目だけ目立たせる。装飾は、理解を助けるために使います。見た目をにぎやかにするためではありません。
改善は、削ることから始める
分かりにくい図解を直すとき、最初にやることは飾ることではありません。まず、何を伝える図なのかを一文で言えるようにします。次に、その一文を伝えるために必要な情報だけを残します。最後に、読み手が見る順番に並べます。
図解の改善は、デザインの技術だけで決まるものではありません。情報を選び、順番を決め、比べる軸をそろえる。そのうえで見た目を整えると、伝わり方が変わります。悪い図解と良い図解の差は、派手さではなく、読み手が迷わず理解できるかどうかにあります。
良い図解は、説明がなくても大筋が伝わる
BtoB資料では、図解が単独で見られることもあります。商談中に一瞬だけ表示される、社内共有でページだけ送られる、ホワイトペーパーの中で流し読みされる。そうした場面では、本文をすべて読まなくても図解の大筋が伝わる状態にしておきます。
そのためには、タイトル、見出し、ラベルの言葉が頼りになります。図の中の言葉が抽象的すぎると、読み手は意味を補わなければなりません。逆に、短くても具体的な言葉が入っていると、図解だけで内容を追いやすくなります。良い図解は、説明を省くものではなく、説明の入口を分かりやすくするものです。
判断基準を持つと、依頼もしやすくなる
図解の良し悪しを判断できるようになると、制作を依頼するときにも役立ちます。「もっと見やすく」だけでは、何を直せばよいか伝わりません。比較軸をそろえたい、視線の流れを左から右にしたい、重要な要素だけ強調したい、と言えると、修正の方向が具体的になります。
これは社内で資料を直すときにも同じです。感覚的な好みではなく、読み手が理解できるか、比較できるか、説明しやすいかで見る。そうすると、図解のレビューが前に進みやすくなります。良い図解を作るためには、作る技術だけでなく、見るための基準も必要です。
直す順番を決めておく
図解を改善するときは、いきなり色や余白から直さないほうがよいです。まず、伝えたい結論を確認します。次に、不要な情報を外します。そのあと、比較軸や視線の流れを整えます。最後に、色、余白、線、アイコンなどの見た目を調整します。
この順番を守ると、修正の手戻りが減ります。見た目を先に整えてから情報を直すと、せっかく整えた配置を何度も崩すことになります。良い図解は、情報の整理と見た目の整理が同じ方向を向いている状態です。