図解タイプを先に知ると、迷いが減る
BtoB資料に図解を入れたいと思っても、どんな図にすればよいかで止まることがあります。なんとなく四角を並べたり、矢印でつないだりしても、読み手に伝わるとは限りません。まずは、情報の性質に合った図解タイプを選びます。
ここでは、BtoB資料で使いやすい図解を、役割ごとに分けて見ていきます。比較表、マトリクス図、業務フロー、サービスブループリント、構造図、Before / After、課題整理図、プロセス図です。どれも特別なものではありませんが、用途を分けて考えるだけで、資料の作り方はかなり整理しやすくなります。
比較表
比較表は、複数のサービス、プラン、選定基準を並べて違いを見せる図解です。営業資料、料金説明、サービス比較、導入検討資料でよく使います。読み手が知りたいのは、単なる違いではなく、自分にとってどれを選ぶべきかの判断材料です。
比較表を作るときは、比較軸をそろえることが大切です。項目がばらばらだと、表にしても判断しにくくなります。価格、対象規模、機能範囲、サポート、導入期間など、読み手が比べたい軸を先に決めると、表の意味がはっきりします。
マトリクス図
マトリクス図は、縦と横に軸を置き、条件と候補、課題と対応策、部門と役割のような関係を見せる図解です。比較表に近い形ですが、単に違いを並べるよりも、「どの条件に、どの候補が合うのか」を確認したい場面に向いています。
たとえば、ツール選定では、必須機能、サポート範囲、連携、費用、運用負荷などの条件を縦に置き、候補サービスを横に置きます。対応しているかどうかだけでなく、どこに強みや弱みがあるのかが見えるため、社内で説明しやすくなります。
業務フロー
業務フローは、作業の流れや関係者の動きを見せる図解です。導入前後の業務、部門間の受け渡し、承認や確認の流れを説明するときに向いています。BtoBでは、サービスそのものよりも、導入後に現場がどう動くかが気になる場面が多くあります。
業務フローでは、誰が、いつ、何をするのかを分けて考えます。単に矢印をつなぐだけではなく、関係者ごとの役割が見えるようにすると、読み手は自社に置き換えやすくなります。
サービスブループリント
サービスブループリントは、利用者から見える動きと、裏側で支える社内作業や仕組みを分けて見せる図解です。問い合わせ対応、導入支援、カスタマーサクセス、サポート体制のように、表の接点と裏側の作業がつながっている説明で使いやすい型です。
業務フローが作業の流れを追う図だとすれば、サービスブループリントは「利用者に見えていること」と「社内で起きていること」を同時に見せる図です。利用者の行動、担当者の対応、社内処理、システムやデータの支えをレーンで分けると、サービス全体の動きが理解しやすくなります。
構造図
構造図は、サービスの仕組み、システム構成、データや部門の関係を見せる図解です。複数の要素が関係している説明では、文章だけだと全体像がつかみにくくなります。構造図にすると、何が中心で、何が周辺にあり、どの要素がつながっているかが見えます。
ただし、構造図は情報を詰め込みすぎると読みにくくなります。中心に置くものを決め、周辺要素との関係を整理することが大切です。
Before / After
Before / After は、導入前と導入後の変化を対比する図解です。課題がどう改善されるのか、作業がどう減るのか、見える情報がどう変わるのかを直感的に伝えたいときに使います。営業資料や導入事例では特に使いやすい型です。
この図解では、Before と After の比較軸をそろえます。導入前は作業時間、導入後は満足度、のように軸が変わると比較しにくくなります。変化を見せるなら、同じ観点で並べます。
課題整理図
課題整理図は、課題、原因、影響、解決の方向性を整理する図解です。ホワイトペーパーや記事コンテンツの導入部分で、読者の問題意識をそろえるときに役立ちます。読者が「これは自社にも当てはまる」と感じる入口を作りやすい図解です。
プロセス図
プロセス図は、検討、導入、運用、改善のように、複数のステップを順番に見せる図解です。手順や流れを説明したいときに向いています。業務フローが関係者の動きを見せる図解だとすれば、プロセス図は段階の順番を見せる図解です。
目的から選ぶ
図解タイプは、見た目の好みで選ぶものではありません。違いを見せたいなら比較表、条件と候補の対応を見せたいならマトリクス図、流れを見せたいなら業務フローやプロセス図、表と裏の動きを分けたいならサービスブループリント、関係を見せたいなら構造図、変化を見せたいなら Before / After、問題の全体像を見せたいなら課題整理図です。
資料を作るときは、まず「何を理解してほしいか」を決めます。そのうえで、情報の性質に合う図解タイプを選びます。この順番で考えると、図解は飾りではなく、資料の意味を支える要素として使いやすくなります。
たとえば「分かりやすい図を入れたい」と考えると、候補が広すぎて迷います。けれど「違いを見せたい」「導入後の流れを見せたい」「複雑な関係を見せたい」と言い換えると、選ぶ図解はかなり絞れます。図解タイプを覚える意味は、デザインの型を増やすことではなく、説明したい内容に合う形をすばやく選べるようにすることです。
1つの資料で複数の図解タイプを使ってよい
資料全体で、図解タイプを1つに絞る必要はありません。営業資料なら、冒頭で課題整理図を使い、サービス紹介で構造図を使い、プラン説明で比較表を使い、導入後の変化を Before / After で見せることがあります。サービス紹介なら、利用者の動きと裏側の支援をサービスブループリントで見せることもあります。ホワイトペーパーなら、課題整理図、調査結果の比較、プロセス図を組み合わせることもあります。
ただし、1ページや1つの図解の中で役割を混ぜすぎないようにします。比較も流れも構造も一度に見せようとすると、図解は複雑になります。資料全体では複数の図解を使いながら、1つの図解には1つの役割を持たせる。この考え方にすると、読み手はページごとに何を見ればよいか分かりやすくなります。
図解タイプは、記事や事例にも使える
図解タイプは営業資料だけのものではありません。記事コンテンツでも、長い説明を課題整理図で整理したり、手順をプロセス図で見せたりできます。導入事例では、導入前後の変化を Before / After で示し、現場の業務変化を業務フローで補足できます。
同じ図解タイプでも、使う場所によって役割は変わります。営業資料では判断材料として使い、記事では理解の補助として使い、導入事例では変化の証拠として使う。図解タイプを知っておくと、資料やコンテンツを作るたびにゼロから考えずに済みます。
迷ったら、読み手の問いに戻る
どの図解タイプを使うか迷ったときは、読み手が知りたい問いに戻ります。「何が違うのか」と聞かれているなら比較表です。「条件に合うのはどれか」と聞かれているならマトリクス図です。「どう進むのか」と聞かれているならプロセス図です。「誰が何をするのか」と聞かれているなら業務フローです。「利用者に見える対応の裏で何が動くのか」と聞かれているならサービスブループリントです。「なぜ問題なのか」と聞かれているなら課題整理図が向いています。
図解タイプは型ですが、型に当てはめることが目的ではありません。読み手の問いに答えるために、いちばん負担の少ない形を選ぶ。その視点で選ぶと、資料の中で図解が自然に働きます。
同じ内容でも、問いが変われば選ぶ図解は変わります。だからこそ、まず読み手が何に迷っているのかを見ることが大切です。